
「秘すれば花」は、世阿弥が『風姿花伝』で説いた芸の心得です。\n\nここでいう「花」は、ただ派手なものではありません。見る人の心を、不意に動かす新鮮な魅力のこと。だから世阿弥は、すべてを見せ切らず、少しを秘めることに花が宿ると考えました。\n\nぼくらパフォーマーにとって、「秘する」はなかなか難しい。どうしても我を出したくなる。うまくやろうとして、全力で見せたくなる。\n\nでも不意に、ほとんどのことをやめてしまったときがあります。声を盛らない。動きを足さない。思いを説明しすぎない。\n\nその静けさのなかで、あれほど懸命に「表現しよう」としていた本質に、かえって近づけることがある。\n\n隠すために小さくなるのではない。まだ見せないものを抱えて、舞台に立つ。そこに、花は咲くのかもしれません。
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