
世阿弥は『風姿花伝』で、移ろう若さの華やかさとは別に、歳月を重ねてこそ現れる「誠の花」を語っています。 四十四、四十五になったころ。若い人たちのまぶしい勢いや、みずみずしい声を前にすると、自分は少し色褪せたように思える瞬間があります。けれど、その先にこそ本質があるのかもしれません。 若い人たちは、若い人たちの花を咲かせる。だからこそ私は、比べるのではなく、確実に舞台に立ち続ける人でありたい。 昔、鴻上尚史さんの舞台に触れていたころ、「立ち続ける」ことについて何度も考えさせられました。舞台に立ち続ける。それは思っているより、ずっと難しい。 立ち続けるには、ただ同じ場所に留まるのでは足りない。稽古を重ね、自分の癖や甘さに気づき、毎回もう一度、自分自身に挑戦する。 そうして積み重ねた先に、若さだけでは届かない「誠の花」が咲くのだと思います。
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